Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

      “にゃんこって ふしぎ” 〜別のお話篇

 

七夕がある七月は、あのね?
高校生や大学生は瀬那たちよりずっと早くに夏休みになるんだって。
大学生のお兄さんたちはどうかすると六月の終わりからお休みだし、
高校生のお兄さんたちも、期末試験ていうのがあって、
そのテストの採点中は授業がないから、
そのままお休みになっちゃうようなもの、なんだって。

 『まあ、学校には行くんだけれどもね』

桜庭さんがそんなゆってて、
完全に“お休み”になるんじゃないぞって、
ヒユ魔くんもゆってたんだけれど。
そんでもサ、お勉強のある授業はないんだもの。
進さんも桜庭さんも、葉柱さんも、
大好きなアメフトだけ、しゅーちゅーして出来るんだもの。
やっぱりうらやましいなぁ……。




        ◇◇◇



七夕が済むと、何だか急に暑さが増した今年の日本で。
関東地方は結構 梅雨の雨も降ったし、
そのせいか“梅雨寒”っていう肌寒さも居座ってて。
お出掛けには上着が要る日もあったのにね。
それがどっか行ったら、今度は格段の暑さが襲い来て。
ガッコまでの行き帰りも、何だか大変な一仕事になっちゃって。
朝はまだ涼しいからね、駆けっこ出来るくらいで気持ちいいんだけれど。
お昼あがりの帰りが大変。
あんまり暑いからのそれで、ついつい駆けっこになっちゃうの。

 『…一緒じゃねぇか、それ。』
 『あれ?』

ヒユ魔くんなんて、葉柱のお兄さんに電話して、
ガッコまでお迎いに来いなんて“めーれー”してるんだよ?
……あれれぇ? そっちもいつもと一緒かしら?


    おいおい
(笑)


 「暑いよぉ〜〜〜。」

小学生が帰宅して一番にすることの中、
“家族へのご挨拶”や“手を洗う”に並んで、
堂々のベスト5に入るのが、
“冷蔵庫を開ける”なんだそうですね。
麦茶やジュースなど、
冷たいものを探すというよな理由もあるのでしょうが、
そういった“必要”がなくともという、
もはや習慣になっているのだそうで。
とはいえ、節約大事のお母様がたにすれば堪まったもんじゃあない。
数秒開けただけで冷やし直しにその倍以上の時間が掛かるとあって、

 「こら、セナ。御用もないのに冷蔵庫をバタバタ開けない。」

アイスは1日1個でしょ? それとも、今 食べちゃうのかな?
学校から帰ってすぐのご無体へ、
メッとお眸々をちょっぴり吊り上げて問えば、

 「んと、後ででいい。」

だってもっと暑くなるもの。
だからね、アイスは3時に食べたい。
そうと いい子のお返事すれば、ママもにっこり微笑ってくれて。

 「そう。それじゃあお昼にしましょうね。」

今日はネ、ポテトサラダのと炒り玉子のサンドイッチだぞ?
あ・そうそう、カルピス作ろうか。パンだから、ね?
アイスの食べ過ぎはよくないけど、水分は一杯とったほうがいいからねって。
大きい目のグラスに氷を入れて、かららんて涼しいのを出してくれるの、
わぁいvvと素直に喜ぶ坊やであり。
暑い暑い1日は、こうしてやっと その半分が消化されるのでありました。



        ◇



高校生のお兄さんたちがガッコでのお勉強はお休みになったのには、
残念ながら半月ほど後れを取っているものの。
小学校も午後の授業は無しの短縮態勢になっているし、
これは地域にもよるけれど、給食もなしの早あがり。
一番暑いさなかにアスファルトの道を帰って来るのは大変なので。
午後にあった体育がなくなって、
プールの授業が減ったのはちょっとヤだったけれど。
早い目にお家に帰れるのは嬉しいセナくんだったりもする。
でもね、セナくんチのママは、
よっぽど暑くなんないと“エアコンつけちゃダメ”ってゆうの。
暑いときは汗かかなきゃって。
でないと、大きくなったとき、汗をかきにくい人になっちゃって、
身体が弱りやすくなるんだって。

 「う〜〜〜。」

今日は随分と暑いのにな。
でも、ママは まだダメって。
タンクトップに短パンで、
肩出して脚出してってゆ、チョーせくしぃなカッコになったセナくん。
お庭への大きな窓を開けてるリビングの、
フローリングの上へ へちょりと寝転ぶ。
二階の子供部屋は、風がない日はただただ暑いので、
いくらお元気なお子様でも、じっとなんてしてらんないもの。
あちゅい・あちゅいと、ママいわく“お念仏みたい”に繰り返してると、
その鼻先をすっと通ってった影があって。

 「…ありゃ?」

テラスのコンクリは陽あたりいいから熱いのにな。
裸足なのに平気なの?
丁度見ていた中でのお散歩、
迷うことなくのどこかへ向かうタマの姿が見えたのへ。
セナくん、ぴょこりと身を起こす。
小早川さんチで飼われている猫のタマは、
セナくんよりも年下のはずだのに、
このところはちょっと偉そうなお顔でセナくんを見たりする。
ネコはヒトより早く大人になるんだって。
ずっと前に、セナが時々泣かされて帰って来たりすると、
いつまでもそばにいてくれたから、
タマはセナのこと、弟みたいに思っているのかも知れないってママがゆってた。

 「タマ?」

お外は暑くないのかな。
あんよ拭いてあげるからお家へ入ろうよと、
掃き出し窓から出たセナくん、小さな影を後追いすれば。
窓のない壁になってる側へと折れる手前、
南天と楓の小さな木が植わってるところで足を止め、
にゃぁあんと鳴いてうずくまるタマであり。

 「あれれぇ?」

日陰になってる一角は、
時々さわさわと風が吹くたび、梢が揺れて涼しい音がし。
あれれ? 今日はあんまり風もないのにな。
ここだけどうして風が吹いてるの?
お邪魔しますとすぐ横へ座ってみたら、
セメントの上もね、ひんやりしてるの。
風もね、エアコンのお外の機械とかの暑いのと全然違ってて、
うんと涼しいのが吹いていて。

 「タマ、凄い〜〜〜vv」

どうしてなんだろ、タマはいつでも涼しいところを見つけるのが上手。
毛皮を着ているからかなぁ。
でもね、冬は冬で、あたかいところを知ってるの。
朝のうちはリビングの窓の前。
お昼になったら二階のセナの部屋に来て、
ヌクヌクとひなたぼっこしてるもの。
すごいなぁ、えらいなぁと感心してたら、
フルルッてお耳を頭ごと揺すぶって見せてから、

  ―― なぁあん、て

何か誰かに甘えるときのお声になった。
あれ? でも、ママはお隣りの事務所でパパのお手伝いしているし。
セナには あんまりこんな鳴き方しないのにね。
丸くなってたのが立っちして、
セナの方までわざわざ来ると、
頭をお膝や腕へと擦りつけながら、
“なぁん・みぁん”って鳴いてみせてる。
何なになぁに? どうしたの?っておどおどしてると、

 「…セナ〜、進さんがお見えになったわよ〜。」

え? ママ、今なんてったの?
あわわって立ち上がって、リビングの方へと駆け出すセナくんだったりし。


  凄いの凄いの、進さん、あのね?
  タマってば、進さんが来たよって、
  ママより先に教えてくれたのvv
  セナの大好き、知ってたからだよ?
  そいで、早くお迎えにいきなさいってvv
  ホントだよ、すごいんだよ?
  だって、タマは セナのお兄ちゃんだものvv




  〜Fine〜 09.07.16.


  *ただ単に、
   涼しい一等地を独占したかっただけかもですぞ、セナくんよ。
(笑)
   ともあれ、
   まだ微妙に早いですが、猛暑日を記録したほどなので、

   暑中お見舞い申し上げますvv

  *もう七月も半ばを過ぎましたね。
   何だか、日々が過ぎるのが早い早い。
   年齢がいくとそうなると聞いてはおりましたが、
   多少は実感もしておりましたが、
   今年は半端ないスピードです、はい。

   ところで、
   学生時代は、時間が経つのが案外と遅かった気がしませんか。
   楽しみな行事は当日がなかなか来なくて指折り数えたし、
   うんざりする行事は苦行の時間がなかなか終わらなかったし。
   これって実は“気のせい”なんかじゃないんですってね。
   時間への経過感覚っていうのは、
   体や経験値の成長と関係し合っているのだそうで、
   老いてくばかりな年になればなるほど、
   時間経過の感覚は早まるのだそうな。
   ……う、う〜ん、そうかそうなのか。

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